トライアスロンのトランジションってなんだ?
トライアスロン 用語でよく出てくるのが「トランジション」。これをそのまま英和辞書で調べるとこうなる。
transition
名
- 〔形や状態などの〕推移、変遷
・I made a transition from fashion design to photography. : 私は、服飾デザイン業から写真業へと(仕事を)変えた。
・The transition from a communist society to a democratic society is not easy. : 共産主義社会から民主主義社会への移行は簡単なものではない。- 《音楽》移行部[句]、推移◆二つの主旋律を結ぶフレーズ。
- 《音楽》〔一時的な〕転調
- 《物理・化学》遷移、転移自動
トライアスロンは連続してスイム・バイク・ランの3種目をこなすので、それぞれの種目に応じたギアが必要になる。そして種目の合間に着替えたり、身につけているものを取り替えたりする。トライアスロンではそれを「トランジション」と呼ぶ。
トランジションの間の時間も競技時間に含まれるため、もちろんのんびりとしてはいられない。いかに素早くスイムからバイクへ、バイクからランへと次の種目へと移っていけるかということも、トライアスロンのタイムを縮める上でとても重要な要素だ。この記事では
- トランジションをどうやったらいいんだろう?
- 他の人はどうトランジションエリアを組み立ててるんだろう?
という人たちの参考になればうれしい限り。
それぞれの種目で必要なもの
トライアスロンの三種目それぞれで必要な道具はどんな物があるだろうか
三種目共通のもの
通して使ってレースが終わるまで着替えたり外したりしないものもある。
- トライアスロンウェア
- GPSウォッチ
- 心拍計
- ゼッケンベルト(スイム後に装着する人もいる)
スイム
- ウェットスーツ
- ゴーグル
- スイムキャップ
バイク
- バイク
- ヘルメット
- サングラス(ヘルメットにバイザーがついていれば不要)
- バイクシューズ
- ソックス(履かない人は不要)
ラン
- キャップ
- サングラス
- ランシューズ
- ソックス(履かない人は不要)
ざっと挙げてみるとこんな感じだ。ちなみに私の場合はヘルメットにバイザーが付いているのでバイクでサングラスは使わないのだけど、そうじゃない場合はバイクの段階でサングラスを装着する人が多いと思う。あと、ソックスはトランジションのタイムを縮めるために履かない人もけっこういる。私は履くけど。
あと、大会によってはスイムからバイク、バイクからランのトランジションエリアが別にあることもあるが、それについてはまた別記事で書くことにする。ここではトランジションエリアが一ヶ所しかない大会の場合について書いていくことにする。
実際のトランジションエリアのセッティング例
2019年の世界トライアスロンシリーズ横浜大会での私のトランジションセッティングはこんな感じだった。
こんな感じにラックが並んでいて、自分のナンバーのところに必要なものを設置していく。この写真では一番手前が私のエリアになっている。
一人あたりのスペースは50cmもないくらいであまり広くはないが、今後開催される大会では変わってくるかもしれない。なんでかっていうのは別の記事に書いた*1ので、気になった人はぜひ読んでみてほしい。
では細かくセッティングをみていくと、ラックにはバイクがかけられている。自分のレースナンバーが貼られているところに指定された向きに設置しないと他の出場者の迷惑になるので気をつける必要がある。ってそんなに間違うものでもないけど。バイクのDHバーにはヘルメットがかけられている。ヘルメットをかぶってストラップを締める前にバイクを動かすと違反となるので(ちなみに、競技中以外でもバイクを動かすときはヘルメットを装着していないといけない事が多いので)気をつけよう。
バイクの前輪に向かって右側にはバイクシューズを置いてある。なんで右側かというと、特に理由はなくてなんとなく。いま思ったがつま先は逆方向に向いていたほうが履きやすいので次回からはそうしよう。バイクシューズには左右それぞれにソックスをちょっと開き気味にして差し込んであって、その上にはタオルを置いている。
ランシューズはバイク前輪向かって左側においている。これもバイクシューズ同様特に理由はないし、やっぱり靴の向きは逆のほうがいいな。ランシューズの上にはキャップとサングラスが置いてある。
実際のトランジションはどんな感じ?
トランジションの流れをざっと順番にみていく。
スムーズなトランジションはスタート前からはじまる
朝ホテルを出る時点でトライウェアは着てしまっていることが多い。もちろん心拍計とGPSウォッチは装着済み。会場についてトランジションエリアのセッティングを済ませたら、ゼッケンベルトをゼッケンを後ろにした状態で装着する。ちなみにゼッケンベルトというのはこんなものだ。
ヒモをゼッケンの穴に通して、留め具で固定する。バイクでは後ろ、ランでは前にゼッケンを付ける必要があるのでゼッケンは通常2枚支給されるが、これがあればゼッケンは1枚でランに移る時にクルッと前に回せばいいのでとても便利だ。
スイムから上がってバイクに移る時にゼッケンベルトを装着する人もけっこう多いが、私はその時間がもったいないので最初につけてしまう。これがついているからと言ってスイムのタイムに影響することはほとんどないだろうし。そしてその上からウェットスーツを着る。スタート地点に集合する前は上半身は脱いだ状態でいることがおおい。暑いと汗をかいてしまって脱水してしまうし、無駄な体力を使ってしまうからだ。もちろんスイムキャップとゴーグルもスタート直前までどっかに挟んでおけばいい。
スイムからバイクへのトランジション
スイムから上がってきたら、水から上がった段階で走りながらウェットスーツの背中のチャックを下ろして、上半身は脱いでしまう。袖はお腹の前で軽く結べばそれほど邪魔になることはない。スイムキャップとゴーグルも外して手に持つか、一時的にトランジションウェアの胸のところに挟んでおいてもいい。ちなみに、私は何度かそのままウェアの中にスイムキャップとゴーグルを挟んだままバイクパートを終えたことがある。目立たないので気づく人はあまりいないと思うけど、自分で気がついたときはとても恥ずかしいので気をつけよう…。
トランジションエリアについたら、下半身のウェットスーツを一気に脱いで、バイクの下にまとめて置いておく。中にはウェットスーツを雑に置く人もいるのだが、さっき見たようにトランジションエリアはとても幅が狭いので、はみ出したりすると他の出場者にとても迷惑をかけることになるので気をつけたい。
バイクシューズの上においたタオルでかるく水気を拭いたら、片方づつ足の水や泥を拭ってソックスを履き、シューズを履く。ソックスも片足づつ右なら右のシューズに入れておけば左右を間違えることはない。左右の指定のないソックスを使えばいいだけなんだけど、気に入ったソックスが区別あるので仕方がない。
スイムからあがってトランジションエリアに到着するまでのあいだは裸足で走ることになるので、それまでの泥や小石や砂などがついている。バイク、特にランではそういった異物が靴や靴下の中にあると非常に不快だしそれがタイムに影響するような気がしているので、ここは急ぎながらも丁寧にやっている。このタオルはもう使わないのではラックに掛けるか脱いだウェットスーツの上にでも置いてしまおう。
DHバーの先に掛けておいたヘルメットを装着してバックルを締めたらバイクをラックから下ろして、マウントエリア*2を目指してバイクパートに臨もう
バイクからランへのトランジション
バイクを終えてトランジションエリアに戻ってきたら、まずはバイクを自分のエリアのラックにかけてから、ヘルメットを外してまた元通りDHバーにかける。ランシューズの上においてあるサングラスとキャップを装着してからバイクシューズを脱いでランシューズに履き替える。バイクシューズをバイクの横に置いたら、ゼッケンベルトをくるっと反転させてゼッケンを前に回して最後の種目、ランに向かおう。
トランジションは自分に合わせて試行錯誤が必要
と、ここまでつらつらと書いてきたのはあくまで「私の場合のトランジション」の話だ。人によってウェットスーツが上下セパレートタイプの人もいるし、ゼッケンベルトはスイムのあとに装着する人もいるし、靴下なんて履かない人もいるし、バイクシューズはペダルに付けておいて、自転車に乗ってからバイクシューズを履く人もいる。
人それぞれスタイルが違うので、自分のスタイルに合わせてトランジションのセッティング考える必要がある。私のもあくまで「現時点でのもの」であって、来年になったら「靴下なんて履かないよねー」なんて言っているかもしれない。
トランジションに関して「こんなアイデアあるよ!」とか「私はこんなふうにしているよ!」というのがあったらぜひコメントで書いていただけるとありがたい。