こしき島アクアスロン
毎年10月に鹿児島県薩摩川内市にある、テレビドラマ化もされたマンガ「Dr.コトー診療所」の舞台となった離島、こしき島で毎年10月に開催されているのが「こしき島アクアスロン」だ。
この大会はトライアスロンではなく、スイムとランの2種目だけの「アクアスロン」だ。そんなに規模が大きい大会でもないし、有名な大会でもないが、個人的に大好きな大会のひとつ。参加の選択肢は大きく2つあって、ロングの部は Swim 2km と Run21km、スタンダードの部が Swim 1km と Run 13km だ。あとリレーとジュニアの部がある。
島の人たちの歓迎っぷりがすごい
たいていの大会は日曜日に開催されるのだが、この大会は土曜日に開催されるので前日の金曜日から鹿児島入りして備える。土曜日の朝イチで川内港に移動して高速フェリーでこしき島へと向かう。
そう、われわれは団員なのだ。って、なに団?
島に到着すると、
島民のみなさんがこんな風に歓迎してくれる。こんな大会はなかなかない。はじめてこの大会に出たときに、これですっかり感激してしまった。が、これはまだまだ序章に過ぎない。
子どもたちの絵で奮い立つ
フェリーの到着した長浜港で受付を済ませると、スタート地点近くの小学校までバスに揺られてコースの説明を聞きながら移動する。このあとここを走るのかと思いつつ揺られているとわりとすぐに到着してしまう。
ここで弁当と大会で使うスイムキャップやパンフレットなどの一式を受け取るのだが、ふと目線を動かすと、
このように大漁旗と子どもたちが書いた応援メッセージが掲示されている。
これを眺めながらのランチはなかなか気合が入る。がんばるよ、子供たち!
お弁当からのスタート
そう、こしき島アクアスロンは土曜日にお弁当を頂いてからのスタートだ。
けっこうしっかり目のお弁当でお腹いっぱいになる。競技説明会のあと、ひとやすみしたら競技に使わない荷物をトラックに預けて、小学校からほど近いスイム会場まで徒歩で移動する。
レースも淡々と進むのだ
とにかく海がきれいで泳いでいて気持ちがいい!
さすがは鹿児島県の離島である、とにかく海がきれい。
これまでこの大会には3回しか参加していないが、10月でも水温が低くて寒かった!ということはなくって、とにかくきれいな水の中でときおり魚が見えたりもしてとても楽しく泳ぐことができる。1km で終わってしまうのがもったいないくらいだ。ロングの部に出れば 2km 泳げるけれど…。
ランコースは坂のキツさが売り?
スイムから上がるとトランジションだが、
このように参加者一人一人に折りコンが割り当てられていて、これに必要なものを入れておくスタイル。アクアスロンはバイクがないのでこの辺がシンプルでとてもいい。
スタンダードの部のランは 13km だが、通常のトライアスロンの大会のようなフラットなものを期待しているとかなり痛い目にあう。とにかく急な坂をふたつ超えなければいけないのだ。relive の動画を見ていただければその坂がどんなものかちょっとわかるかもしれない。
普通であればこんな坂道はコースに含めないんじゃないかと思うが、ここはこしき島。スイム会場からゴール地点まで移動するにはこのルートを通るしかないのである。そして、この坂がこの大会を特徴づける大きなポイントでもある。沿道には島のみなさんが途切れることなく立って応援してくれていて、坂道の一番きついあたりでも頑張れる。途中でスイム会場からゴール地点へ移動する応援者たちの乗ったバスに追い抜かれる。車窓からの応援も一瞬だがとても力になる。
そして2つめの大きな坂を超えればあとはほとんど下り坂。でもこちらもかなり急なところもあるので、あまりスピードを出しすぎるとここまで消耗した脚が体を支えきれずに転倒してしまいそうになるので注意が必要。とはいいつつ気分もいいのでものすごいスピード出ちゃうけどね。
ゴール地点の長浜港にはゴールゲートが設置されている。
ここでもたくさんの島の人達の声援を受けてゴールすることができる。13kmのランがこんなに長く感じる大会は他にないかもしれない。その分ゴールの気分は格別だ。
ゴールのあとがむしろ本番かもしれない
ゴール後はトランジションエリアから自分の荷物が運ばれてきているので、受け取ったら仮設のシャワーで汗を流して着替えてしまおう。いったん宿に戻って体を休めてもいいが、ゴール地点でビールも売られているので私の場合はやっぱり飲んでしまう。
ゴール地点があっという間に大バーベキュー会場に
そしてレースが終了すると、さっきまでゴール地点だったところにどんどんベンチや炭火が運ばれて…。
あれよあれよと食材が持ち込まれ…。
肉だけではなく島らしく海産物もたくさん。特筆すべきはこしき島で揚がるきびなごとタカエビで、これが実にうまい!
カジキマグロの解体ショーなんてのもあったりする。
とにかく焼いて食べる!バーベキューコンロはたくさん並んでいるのだが、参加者の方がはるかに多いので否が応でも他の地域からの参加者たちと交流することになる。さすがに九州の人が多いところで北海道から来たというと珍しがられて喜ばれたりもする。2017年などは一番遠いところから来たことを理由になぜだか表彰され、焼酎を一本頂いてしまった。
そう、会場にはビールもあるのだが、せっかくだから甑島の焼酎を飲もう!
これ、けっこううまいので行くたびに買って帰っている気がする。通販でも買えるけどなんとなく地元で買ったほうが気分がいい…w
食べて飲んで盛り上がっているとほどなくして表彰式がはじまる。単に表彰式をやるだけではなく、地元の踊りなども披露されてかなりの盛り上がりをみせる。
とにかく島の人達がこの大会で島を訪れた人たちを一生懸命もてなそうという気持ちがひしひしと伝わってくる。これが私がこの大会が好きになった最大のポイントだ。ぜひ一度味わってほしい。感激するよ。
しこたま食べて飲んだら宿に帰って寝よう…。島にスナックが二軒あるけどw
翌朝には大バーベキュー会場がバザー会場に
目覚めたらもう日曜日。フェリーに乗って帰るだけなのだが、早めに長浜港についておくといい。なぜなら…。
昨日のゴール地点がバザー会場になっている!
島で揚がった海産物も買える!
昨日うまくて感激した名産のタカエビも食べられる!
いや、ホントに素敵な大会だこと…。ちなみに同じ会場では島の学校のPTAバザーも毎年同時に開催されている。そんなところもとても素敵だ。もう一度書くが、この空気を楽しむためにもフェリーの時間よりだいぶ早めに長浜港に着いておこう。
お見送りは感動的
そうこうしていると残念ながらフェリーの時間になってしまう。来たときと同じように船に乗り込んだら、出港前にぜひ客席の上にあがってほしい。島の人達がまた集まって盛大にお見送りしてくれるのだ。
動画があるのでぜひ観てほしい。
はじめて参加した時にこのお見送りを受けて、私は「また来よう!」と強く心に誓ったのである。2017年以来行けていないし、2020年は残念ながら中止となってしまったが、来年もし開催されるならぜひまた参加したい。